上信越・越後の沢

越後 北ノ又川芝沢右岐沢

悪い登攀と厳しい高巻きが続く峻渓。

終始油断出来ない玄人向けルート。

北ノ又川 芝沢右岐沢 遡行記録

2023/9/2-3 1泊2日 両日晴れ

メンバー:ケーシ、シュカ、他1名

遡行グレード:4級上

webにあまり詳細な記録がなく、気になっていた芝沢に行ってきた。
左岐も気になるが、まずは距離も短く、易しそうな右岐をチョイス。


ポムチムと白銀の湯で待ち合わせ、車を移動して出発。


しばらく平凡な河原を進む。


箱淵に到着。写真で見ていたより小ぶり。簡単に巻けそうだ。


巻く予定が初北ノ又川の我々は内部が気になり、突入することに。
水がクソ冷たい!!


一瞬で体温を持っていかれ、後半は犬かきで必死に浅瀬まで辿り着いた。
多分もうここを泳ぐことはないだろう(笑)


ゴルジュ内はかなり水量が少ない。死臭が漂い、奥に何か死んでいそうな予感。


箱淵出口の大釜。ここも水量少なく、それほど威圧感はない。


左からへつって行くと、先頭のポムチムがビックリした様子で雄叫びを上げている。
何とゴルジュの出口に熊がいるらしい。鹿の死骸を食べているのだとか?さっきからの死臭はこれだったのか。
入口まで泳いで戻るのも億劫なので、とにかく皆で叫ぶ。
何回か大声を出していると対岸に逃げてくれた。(写真奥の小さな黒い塊)


河原を挟むと再びゴルジュ。ここは巻くことも可能だが、一瞬なので泳ぐ。
その後、滝をバンドから巻いて越えると再び河原。


河原を進むと再び淵。


覚悟を決めて泳ぎます。


意外と泳ぐ箇所が多い。滝ハナ沢出合まで3-4箇所はある。


平凡な滝ハナ沢出合を越えて、さらに進むと船のような岩が見えてくる。ここが芝沢出合。


最初は綺麗で平凡。


チビゴルジュが続く。


泳ぎを交えて進む。


この時はまだ癒し系だと思っていた…。


一旦河原になる。


河原を進み、この滝が出てくるといよいよ本番。


徐々に越後らしい渓相になってきた。


ゴルジュを進む。


ゴルジュ地形が続く。幸い面倒な滝は無く、景観を楽しみながら歩ける。


二俣手前。


ゴルジュ状の二俣に到着。


左岐出合の滝。こちらも気になるが…。


今回は右岐へ。出合から強烈なゴルジュになっている。
最初の8m滝は水流沿いを登るが絶妙にヌメって嫌な感じ。


奥に進むと2段の滝。うーん、これは厳しそう。


という事で右岸巻き。
巻いている途中から眺めるとさらに滝が続いており、圧巻の光景。
いきなりスゴイことになっている。


小さく巻いて連瀑の途中に復帰。
ここは右から登る。


連瀑帯最後の15m滝は左から直登。


連瀑帯上はミニゴルジュが続いている。


ゴルジュを抜けると沢が開け、ヒト休憩出来る。


明るい沢を進む。


快適に直登。


再び草付きが後退し始めると前方に3段20mの滝が見えてきた。


ヌメリに苦戦しつつ登る。


5m未満の滝が連続。


滝の下部が抉れていたり、のっぺりしていたりで地味に悪い滝が多い。


これは直登出来そうだったが、上部が悪そうなので無難に巻く。


ゴルジュ内部に突入。


狭いゴルジュが続く。


凄まじい景観。奥に何か出てきそうな予感、、


屈曲部に10m滝。これも悪そう。左から取り付くがホールド甘く断念。


右のリッジ横のスラブから登ることに。ポムチムのナイスリードで落ち口へ。


登り終えて先に進むとまた滝。左から行けなくはなさそうだが…。
この沢、滑り台状の滝が多く、登れるか否かの判断が難しい。
協議の末、ここも巻きに入る。


巻いて沢に降りると側壁がさらに荒々しくなり、巻きも素直には出来なさそうな地形になる。
そして奥に15m滝。これもダメそう。。


ここも巻きに入るが、右岸か左岸どちらにするか悩ましい。協議の末、小さく巻けそうな左岸に決定。
シュカさんが垂直に近い泥壁のニラ草付きを登って直上。その後に続くも、既に使えそうなニラは消滅しており、進退窮まる。
露岩帯から登っていたポムチムにヒモを貰い、ゴボウで何とか登れた。過去イチ悪い巻きだった。


懸垂2発で何とか沢に復帰出来た。2発目の懸垂は支点がハーケン1本だったので痺れた。
ここに限らずだが、越後の沢はしっかり目の灌木がかなり上に生えているので、長めのロープ2本携行がベターだろう。


沢に戻って一服。目の前にはまだゴルジュが続く。
さっきまでのよりかは威圧感は減ったか?


巻いたり直登したりしながら進む。


これは右のバンドから。


かなり落ち着いてきた。


薪が豊富な河原に到着。先には再びゴルジュが…。
時間はまだ14時前。進もうか悩んだが、この先に良いテン場があるか分からないのと、大量にある薪の誘惑に負け、本日はここで行動終了。


無限にある薪でビッグファイアー。
この日も夜まで暑く、シュラカバだけで眠れた。今年の夏は異常だ。


翌朝。いきなりゴルジュからスタート。
前日に内部に入って下見した時にかなり悪そうだったので巻くことにする。


相変わらずあまり良くない巻きをこなしながら下降点を探る。朝から結構な重労働。
奥には昨日のテン場からも薄っすらと見えた20m大滝が姿を現す。


大滝下にも悪そうな滝が見え、降りるのも大変そうなので巻きを継続。
落ち口の少し先に降り立つ。


滝上は穏やかな渓相。


極上河原発見!ここが最後のテン場適地。初日にここまで行けるとベスト。


小滝が続く。


前半の小滝群は快適に登れるものが多い。


このまま穏やかに終わるものかと思っていたが…。


まだ滝が出てくる。ここら辺から後半の小滝群。これは左から。


次の脆い滝を左から越えるとまた絶望系の滝。
両岸かなり立っていて、これまた巻きも悪そう。
少し戻ったところから巻きに入るが、急斜面に加え、浮石が多く非常に気を使う。一人ずつ慎重に通過。
そこから滝落ち口に向けてトラバースをかけるも一ヶ所ヤバイゾーンがあり、巻きの上手なポムチムが華麗に越え、我々はヒモを貰って通過。ここはもう少し上の藪に入った方が安全かも。


沢に戻るも周囲の景色は依然険しい。
雪渓が少しだけ欠片になって残っていた。(全行程でここだけだった)
この辺は普段、雪渓に覆われているのだろうか。


さらに凶悪な地形になって行く。心臓が締め付けられっぱなし。
最初から最後まで全然癒しの要素がない(笑)


幸い、面倒な滝は無く快適に登れて安堵。


いよいよ終盤戦か?


快適な滝が続く。ホールドが硬く気持ちいい。


絶望的なCS滝が続くが、側壁から上手いこと登れる。


最後の二俣付近。左はすぐに水が涸れそうなので右へ。


こちらも何個か滝を登るとすぐに水が涸れる。
最後は沢型を外れて左の草付き混じりのスラブ帯に突入。


振り返る。険しい地形だな~。


草付きスラブをグイグイ登って高度を稼ぎ、最後に濃厚な藪漕ぎをして天狗平に出た。
ここからプチ縦走。灼熱過ぎて死にそう。


暑さに喘ぎながら越後駒ヶ岳山頂に到着。
休憩しているとオツルミズを登って来た渓たそPと大チョウナ沢から来たHGさんPが登ってきて山頂に沢ヤが集結。記念撮影をして下山。

休憩を挟みつつ足早に下って下山。最後は北ノ又川を横断して駐車スペースへ。

芝沢右岐は快適な滝が続く沢かと思っていたが、実際はかなり悪いところが多い苦行系の沢だった。越後の沢を行き尽くした人向けだと思う。
左岐の方が登れる滝が多そうなのでまた来年訪れよう。

コースタイム

1日目
駐車スペース6:30―箱淵7:30―芝沢出合8:30―二俣9:30―テン場13:30

2日目
出発6:00―登山道9:40―越後駒ヶ岳山頂11:00―駐車スペース14:40

装備

ラバーソール靴、40mロープ、カム・ハーケン