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【沢登り初心者向け】沢登りに必要なクライミングギアを解説!

こんにちは!
サワグルイのケーシです。

今回は沢登りを始めるために必要なクライミングギアについて解説していきます。
何から揃えたらいいのか、どんなギアを買えばいいのか分からない…。
という方の参考になれば幸いです。

各カテゴリー毎に細かく解説しているので少し長めです。
お時間ある方は最後まで、細かい解説はいらん!という方は用途だけでも見ていって下さい。

必要なクライミングギアとは?

沢登りに連れて行ってもらう際に用意した方が良いクライミングギアは以下の通りです。
ヘルメットとハーネスについては別記事で詳しく解説していますのでそちらをご覧ください。

【必ず揃えるもの】

【出来れば揃えておくと良いもの】

  • クイックドロー
  • アッセンダー

カラビナ

まずはこれがないと始まらない!カラビナです。
たくさんの種類がありますので、ざっくりと解説していきます。

形状

カラビナの形状は大きく分けて4種類あります。

【変形D型】
今主流となっていて最も汎用性の高い形状です。
普通のD型よりもゲートクリアランス(開口の大きさ)が広いのが特徴です。

 

【HMS型】
洋ナシ形とも呼ばれています。カーブが緩くロープの流れが良いため、ムンターヒッチのビレイやビレイデバイスと併用してよく使われています。

 

【オーバル型】
上下対称の形をしたカラビナ。主にアッセンダーやプーリーなどを使う際に使用します。

 

【D型】
変形D型の登場前によく使われていた形状で今は売っているのをほとんど見ない絶滅危惧種です。

ゲートの種類

ゲートの種類はロック機能が付いていないタイプで4種類、
ロック機能が付いている安全環付きタイプでで2種類の計6種類あります。

ロック機能が付いていないタイプ

【ストレートゲート】
汎用性の高いゲートが真っ直ぐなタイプです。

 

【ベントゲート】
その名の通り、ゲートが曲がっていてロープをクリップしやすくしているタイプです。
初心者はこのタイプだけを買ってしまう人がなぜか多い気がします。(カッコイイから?)
ノーマルやワイヤーと比べるとロープを通す向きを間違えるとゲートが開きやすく危険です。支点側にも使えないので注意しましょう。

 

【ワイヤーゲート】
ゲートにスプリングワイヤーを使ったタイプです。非常に軽量なのが特徴です。

 

【ツインゲート】
ゲートが2つ付いた少し変わったタイプです。安全環付きカラビナのような役割を果たします。
つまむようにゲートを開けるため、慣れが必要です。

 

ロック機能が付いているタイプ(安全環付き)

【スクリューロック】
ネジを回す要領でクルクル回してゲートを閉じるタイプです。
ゲートの閉め忘れに注意が必要です。

 

【オートロック】
その名の通り、自動的にロックがかかるタイプです。
閉め忘れが無く、スピーディーにロックがかけられるのが特徴です。

 

ノーズの形状

ノーズ形状にはキーロック式とピンロック式の2種類があります。
キーロック式はノーズ先端の引っかかりが無いのでロープやスリングの出し入れがしやすいのが特徴です。
ピンロック式はワイヤーゲートに多いのですが、ノーズの先が尖っていてロープやスリングが高頻度で引っかかり、中々ストレスです。

用途

環付きカラビナは主に
下降器用(ビレイデバイス用)、セルフビレイ用として使います。
そのため、最低2枚は必須。3枚あると確実です。

普通のカラビナは
スリングやその他ギア類を携帯する際など、様々な用途で活躍します。
こちらは必須ではありませんが、数枚持っておくと何かと便利だと思います。

スリング

次はスリングです。スリングとは簡単に言うと紐を輪っか状にした物のことを指します。
こちらも種類が色々あるので、ザックリと解説していきます。

種類

スリングには大きく分けて以下の3種類があります。

【ソウンスリング】
ソウンスリングとはあらかじめ輪っか状に縫われて販売されている物です。
太さ、長さ、素材に関係無く、市販されている物には22KNの強度があります。

 

【ロープスリング】
こちらは切り売りのロープをお好みの長さにカットして作るスリングです。
一部メーカーからはあらかじめ輪っかになった状態で販売されている物もあります。

 

【テープスリング】
こちらも切り売りのテープをお好みの長さにカットして作るタイプです。
ソウンスリングの自分で作るバージョンと思ってもらえればOKです。
今は売っているお店が少ないです。

素材

スリングの素材は大きく分けて以下の3種類があります。

【ナイロン】
最もオーソドックスな素材で、熱に強く柔らかい、そして結び目を作った際の強度低下が少ないのが特徴です。
ただ、水を吸いやすく、濡れると強度が落ちるので一般的に沢登りには向きません。

【ダイニーマ】
素材自体が高強度(それだけ細いスリングを作れる)で吸水性が低く、まさに沢登りに適した素材です。
ただし、熱に弱く、結び目を作ると大幅に強度が落ちるので扱いにはある程度注意が必要です。

【ケブラー】
強度と耐熱性を併せ持っているのが特徴ですが、結び目を作ることにより強度が大幅に下がります。
まだ一般的ではないのか、あまり見かけません。

長さ

市販されているスリングの長さは60cm・120cm・180cm・240cm辺りが一般的です。
初心者は60cm・120cm辺りを使うことが多いです。

用途

セルフビレイ、支点作成、お助けヒモなど様々な場面で使用します。
特に初心者は自分の体と支点を繋ぐ、セルフビレイ用のコードとして使うことが多いです。

ロープスリングはフリクションノットを使用した登攀や懸垂下降のバックアップ、登り返し等に使います。

その他

また予算が許すのであれば、上記スリングに加えて
PAS(パーソナルアンカーシステム)やデイジーチェーンと呼ばれる、セルフビレイ用のコードを買っておくと便利です。
カラビナを使って長さを自在に調節できます。

ビレイデバイス

次はビレイデバイスです。
色々種類がありますが、出来るだけシンプルで扱いやすく、故障のリスクが少ないモデルを選びましょう!

種類

ビレイデバイスは大きく分けると
チューブタイプとブレーキアシスト機能付きタイプがあります。
沢登りではオールラウンドに使えるチューブタイプのフォロー確保機能付きタイプがオススメです。
ブレーキアシスト機能付きのビレイデバイスはフリークライミング向きかつ、懸垂下降にも不向きなので沢登りにはあまり適しません。

用途

登攀時の確保、懸垂下降で使用します。

クイックドロー

ここからは出来るだけ揃えて欲しいギアです。

クイックドロー(ヌンチャクとも言います。)とは2枚のカラビナをスリングで繋げたもののことです。
初心者のうちは使用機会が少ないと思いますが、自分がリーダーとして沢に入る際は必須になるギアです。

種類

クイックドローにはカラビナと専用のスリングがセットになったフリークライミング用
自分でスリングとカラビナを買って作るアルパイン用の2種類があります。

沢登りでは長さの調節が出来るアルパイン用のクイックドローが使いやすいです。
フリークライミング用は長さの調節が出来ないので、直線的ではないルート取りが多い沢登りには不向きです。

アルパイン用のクイックドローはカラビナ×2と60cmのスリング×1を組み合わせて作ることが多いです。
使用するカラビナは軽量なワイヤーゲートがおすすめです!
使うスリングも予算が許す限り出来るだけ軽い物(細い物)を選びましょう。

必要個数

行く沢によりますが、3本くらいあれば問題ないと思います。

用途

ビレイ支点作成時や中間支点として使います。

アッセンダー

アッセンダーとは登高器のことで、ロープにアッセンダーを取り付けることで一方向にしか動かなくなります。

種類

アッセンダーには取っ手が付いているタイプと取っ手が付いていないタイプの2種類があります。
沢登りでは取っ手の付いていないタイプで、出来るだけシンプルなモデルを選ぶのがベストです。
代表的なモデルだとペツルのタイブロック、コングのダック、ワイルドカントリーのロープマン辺りがおすすめです。
使用するロープ径に対応しているものにしましょう。

用途

滝の登攀時などにロープにアッセンダーをセットして使います。
一方向にしか動かないため、万が一墜落しても止まってくれます。

最後に

かなりザックリとですが、沢登りを始めるために必要なギアを紹介しました。
機会があれば、今回紹介したギアをもっと掘り下げて解説していきたいと思います。

今回の記事は沢登り初心者がガイドやリーダーに連れて行ってもらうことを前提としたギア解説です。
そのため、ロープやハーケン、各種プロテクションなどは紹介していません。
また実際に沢登りに行かれる場合は、ガイドやリーダーの指示に従って装備を揃えるようにしてください。