今回は沢登りで使うヘルメットについて解説していきたいと思います。
最近では一般登山道でも着用を推奨されているヘルメットですが、
沢登りにおいても、転倒・滑落・落石などから頭部を保護するための必須装備です。
今回は沢登りを始める人向けに解説しますが、
登山やクライミングにも役立つ知識があるかも?しれないので、
興味のある方は是非最後までご覧ください。
登山用ヘルメットとは
登山用ヘルメットとはEN12492、UIAA106という厳しい安全規格をクリアした物のことです。
国内で売られている登山用ヘルメットのほとんどがこの規格に適合しており、
ヘルメットの裏側を見ると両方もしくはどちらかのマークがついています。
EN12492は登山用ヘルメットのヨーロッパ規格の一つで、安全基準やテスト方法を定めたものです。
EN12492の安全基準をより厳しくしたものがUIAA(国際山岳連盟)106になります。
なのでUIAA106のマークがあれば、より信頼性の高いヘルメットということになりますね。
工事現場用ヘルメットや自転車用ヘルメットとは試験の種類や方法が異なるので、
購入する際は必ずこのマークが付いているものを選びましょう。
ヘルメットの種類と特徴
登山用ヘルメットは大きく分けると2種類のタイプがあります。
厳密に言うと3種類あるのですが、ハイブリッド/ハードタイプについては特徴が似ているのでまとめています。
軽量タイプ(インモールドタイプ)
外殻(シェル)と内殻(内側のクッション材)をインモールド・マイクロ製法で一体成型したものがこのタイプです。
シェルにはポリカーボネートなどの薄い樹脂、内殻には発泡ポリスチレンを使用しています。
落石などを受けた際に本体が壊れることにより衝撃を吸収し、頭部を保護します。
【メリット】
一体成型により、とにかく軽量です。
また通気孔のデザインや大きさを自由に成型できるため、通気性にも優れます。
【デメリット】
落石や強い衝撃を受けてしまうとすぐに壊れてしまうので、買い替えになります。
また値段がやや高めなので、取り扱いに少し気を使いますね。
ハイブリッドタイプ/ハードタイプ
やや厚手のシェルと内殻を組み合わせたものがハイブリッドタイプ。
厚手のシェルと内側に衝撃吸収のテープを組み合わせたものがハードタイプです。
どちらも固いシェルで落石などを弾くことにより、頭部を保護します。
【メリット】
シェルにはABS樹脂などの硬質樹脂を使用しているため、とにかく頑丈なのが特徴です。
軽量タイプと違い、落石や強い衝撃によりヘルメットが壊れる可能性は低くなります。
【デメリット】
軽量タイプに比べると当然ですが、重くなります。
私はどちらも被ったことがありますが、ハイブリッド/ハードタイプは安心感抜群ですが、長時間付けていると少し疲れますね。
沢登りではどっちのタイプが良い?
じゃー結局どっちを買えばいいの?という話なんですが、
答えはどちらでもOKです。それぞれの特徴を知った上で、好きなものを選んで良いと思います。
沢登りでは一般的に落石による事故のリスクが高いのでハイブリッド/ハードタイプの方が安心でしょ。という意見も聞こえてきそうですが、
結局いくら固いと言えど、それなりの大きな落石をくらってしまうとヘルメットは問題なくても首の骨が先に逝ってしまいます。
つまり人が死んでしまうような大きな落石や衝撃に対しては、どちらのタイプも一緒です。
なので、軽さと通気性の良さを優先する場合はインモールドタイプ、
耐久性を重視する場合はハイブリッド/ハードタイプといった感じで選べば良いと思います。
ヘルメットの選び方
次は選び方について解説していきます。
大事なのは色や形だけではありません!
自分に合ったサイズや形状を選ぶ
登山用品店に行ったらまずは必ず試着をしましょう!
そして色々なメーカーをとにかく試しまくるのが一番良いと思います。
色や見た目のカッコ良さも大切ですが、一番に優先すべきは頭に合うかです。
以下で注意すべきポイントを解説します。
- サイズ
サイズが小さいと長時間の着用で頭が痛くなったり、逆に大きいとヘルメットが動いて煩わしいですし、滑落時に脱げてしまう場合があります。
ヘルメットを被ったときに頭を左右に振ってみてグラグラしないか。
頭全体に過度な圧迫感がないか。などをチェックしましょう。 - 形状
サイズが合っていても形状が合っていないと頭にフィットしない時があります。
ヘルメットには欧米人向けに作られたモデルや日本人向けに作られたモデルがあるので、
色々と試してみると良いと思います。 - その他
女性で髪を後ろで結ぶ方は普通のヘルメットだと合わない場合があります。
そういった女性向けにデザインされたモデルも出ていますので、ご心配なく!
↓こちら、シュカが髪長かった時に使っていました!
ヘルメット関連の小物
必須ではありませんが、ヘルメット関連の小物は持っていると便利です。
インナーキャップ
頭部の蒸れや汗が顔に滴り落ちるのを防いでくれます。
また沢登りでは滝の登攀時、水を被った際にツバが良い感じに視界を確保してくれます。
登山道に出てからも日焼け・紫外線対策として必ず被っています。
私は“finetrack”社のゼファーキャップを愛用していますが、これがかなり良い感じです。
アンダーウェアの生地を使用しているため、非常に薄手でヘルメットを被っていても違和感0です。また速乾性にも優れているので蒸れ感が少なく快適。
ツバは柔らかくコンパクトになるので、とても気に入っています。
ヘルメットホルダー
ヘルメットをザックの外に取り付けて携行できるようにするホルダーです。
アプローチや下山の際も、安全のためにヘルメットは被ったままというのもアリですが、暑いので脱ぎたくなる時もありますよね。
かといってザックにしまうと荷室を圧迫してしまいますし、ぶら下げて外付けすると狭い道で他の登山者の邪魔になってしまう…。
そんな時に使いたいアイテムです。
最後に
今回はヘルメットについて長々と書きました。参考になりましたか?
登山の道具って本当に種類がたくさんあって選ぶのに一苦労ですよね。
でもそこが楽しいところでもあります。
ではまた次回の沢装備解説でお会いしましょう。
最後までお付き合いありがとうございました。