山深く美しい沢旅を存分に満喫できるルート。
駒形沢の「桃尻スラブ」は一見の価値あり。
室谷川本流の西の沢出合~駒形沢出合辺りの渓相も見事!
室谷川 駒形沢遡行・西の沢~室谷川本流下降 遡行記録
2020/6/2~3 一泊二日 両日晴れ
メンバー:シュカ、ケーシ
遡行グレード:3級
今年は雪解けも早いということで、暑くなって害虫が出る前に室谷川に行くことに。
何年か前の夏、駐車スペースまで来て大量のアブにたかられて逃げ帰ってきたのを思い出す。
今シーズン3本目でいきなり泊まり沢かつ、初日の行動時間が長いので不安ではあったが、行くなら虫のいなそうな今しかない!と気張って出発。
駐車スペース脇の堰堤からすぐ入渓。アプローチ1分。
しばらく河原歩き。
火山系だからか、河原の石がカラフルで楽しい気分になる。
30分ほど歩くと駒倉沢出合。
2泊3日で駒形沢登った後に駒倉沢も…なんて話もしていたが、泊まり沢始めとしてハードすぎるのでやめた。
駒倉沢を過ぎると次第にゴルジュ状になり、泳がなくてはいけない区間が出てくる。
さすがにまだ水は冷たく、気温もそこそこといったところで寒い。
流れは緩いので進むのには苦労しない。
3か所くらいガッツリ泳いだ。
今回私(シュカ)はライジャケ無しだったが、ザックを背中にして後ろ向きに泳ぐと、意外と楽に早く進むことが分かった。
流れが緩いところはこの泳ぎ方はアリかも。
ライジャケ有のケーシはそれだと上手く泳げないようだったが。
今まで緩やかな河原か淵しか出てこなかったが、突然滝が現れる。
大釜を持つ5m滝だ。ここまで入渓から約1時間かかった。
釜の淵から水流右に取り付き登った。
遠目からだと悪そうに見えたので荷揚げしたが、取り付いてみるとホールドがしっかりあり登りやすかった。
5m滝の上は水路状になっている。寒い寒い言いながら泳ぐ。
再びしばらくの河原歩き。
ずっとゴルジュかと思っていたが、意外と河原の区間が長い。
小滝の右から駒形沢が出合う。
駒形沢に入る。出だしは森系の渓相。
次第に滝が出てくるようになる。快適!
特に難しいところは無く、綺麗な渓相に癒されつつ進んでゆく。
奥にスラブ帯が見えてきた。
桃尻はどれかな~?と目を凝らすが良くわからず。
一旦巨岩帯になる。
大岩を潜って進む面白いところ。
巨岩帯が落ち着いてくると、次第にスラブ帯に入る。
この滝は直登もできそうだが悪そうなので巻き。
左から簡単に巻ける。
巻き終わって振り返る。山深い!
久しぶりに秘境に来た感じがする。
スラブ帯が続く。
水路状の脇から、フリクションを効かせて快適に登る。
スラブが途切れると、目の前に「桃尻スラブ」が現れた!
(ついでに雪渓も…。まぁ6月だし多少は残っているよね。)
確かにお尻っぽい。
雪渓を巻き気味にかわしつつ、桃尻スラブへ入る。
楽しいスラブ登りの始まり!左の溝から取り付いた。
溝に入ってつっぱりで登っていく。
久々の登攀のせいか体が重い!
素晴らしい景色にテンションが上がる。
スラブには所々土が乗っており、滑りそうで緊張しながらも楽しく登る。
一瞬でスラブは終わり、藪沢へ突入。
遡行図を持ってこなかったため、正規ルートがどこか良くわからない。
とりあえず沢線を辿っていく。
次第に傾斜の強い藪や岩壁に追い込まれていく。
戻るのも大変なので、仕方なくそのまま登っていく。
なんと、下から見えていた飛び出た岩の直下に出てしまった。
だいぶ沢の本筋から離れ、右に寄りすぎてしまったようだ。
岩の上で少し休憩し作戦会議。
左へトラバースできそうな所を探してルート修正することにした。
正規ルートらしき沢筋に戻ってきた。
岩壁をひと登りし藪に入ると、ちょうど狙っていた鞍部に到着。
変な所を登ってしまって疲れたし、時間も押しているので駒形山の山頂は踏まなかった。
鞍部からそのまま西の沢に下降。
西の沢には結構雪渓が残っていた。
潜るのはリスキーなので端っこを慎重に歩く。
ここから何回か懸垂下降が必要になる。
懸垂一発目の滝。
この滝は懸垂2回で降りたが、2回目はクライムダウンできそうだったので1回で済んだかも。
なかなか美しい滝だ。
なんとか日没前にCo560付近の幕営適地に到着!
新しい焚火跡もあった。今は雪も害虫も少ないからこぞって入るんでしょう。
久々の泊まり山行で疲労困憊…夕飯をかきこみ早々に寝る。
翌日、9時頃から雨予報ということで、早々に本流ゴルジュを抜けなければいけない。
3時に起き、4時半ごろに明るくなったので出発。
傾斜は穏やかになり、ナメが目立ち始める。
快適にナメや小滝を下っていく。綺麗な渓相に癒される。
特に難所もなく下っていくと、室谷川本流とぶつかった。
この出合の滝は懸垂で降りる。
これもなかなか立派な滝だ。
室谷川本流を下っていくと、ゴルジュ状になってきた。
ここからが室谷川のハイライト!
岩盤が切り立ち、美しくも異様な景観だ。
自然の造形美を楽しみながら下っていく。
ずっと泳ぎかと思っていたが、半分ぐらいはへつれる。
下降は流されて帰れるから楽!と思っていたが、流れが緩すぎて自分で泳がないと全然進まなかった…。
あっという間にゴルジュは終わり、再び河原歩きになった。
駒形沢の出合まで来れば、あとは知った道を戻るだけだ。
大釜の5m滝は飛び込んで下っているパーティもあったが、無難に懸垂で降りた。
結局心配していた雨には降られず、無事に駐車スペースに戻ってこられた。
なかなか体力勝負の山行だったが、駒形川・室谷川の美しい景観を存分に堪能できた。
結果的に天気も体力も持ったので、後回しにせずに今回遡行できて良かったと思う。
ただ、やはりまだ体力不足感はあるので、本数を稼いで徐々に体力を戻していかないといけないと感じた。
次、室谷に来るのであれば駒倉沢~倉谷沢かな。
コースタイム
1日目
駐車スペース7:40ー駒倉沢出合8:10ー駒倉沢出合10:00ー桃尻スラブ12:50ー稜線14:40ーCo560付近幕営適地18:00
2日目
出発4:30ー室谷川本流・西の沢出合5:30ー駒形沢出合8:00ー駐車スペース10:00
装備
ラバーソール靴、50mロープ、ライジャケ(ケーシのみ)