上信越・越後の沢

越後駒ヶ岳 オツルミズ沢

滝、滝、滝の連続する様は正に、天から水の落つるが如し・・・

沢登りをはじめてから、一つの大きな目標だったオツルミズ沢遡行。

大滝登攀、悪い草付き、雪渓処理など、沢登りの総合力が試される、非常に登りごたえのある沢でした!

信濃川水系水無川 オツルミズ沢 遡行記録

2017/10/17-18 1泊2日 曇り/晴れ

遡行グレード:4級上

メンバー:シュカ、ケーシ

オツルミズ沢を9月から狙っていたものの、天気に翻弄され、10月ももう半ば・・・。
行けるかどうかギリギリのラインだったが、この2連休を逃したら次はいつになるのか分からない。まぁ何とかなるっしょ!と出発。

水無川沿いの林道を歩く
越後三山森林公園に車をとめ、まだ薄暗い中歩きだす。
以前はオツルミズ沢出合の付近まで車で入れたようだが、今は通行止めになっている。
しかし空模様が微妙だ・・・。

林道からカグラ滝を見る霧がかかる山中に白い線がうっすら見える。あれが最初に登るカグラ滝だ!
林道からもこんなに見えるとは。すごい滝だ。

オツルミズ沢出合
さて、20分程歩いたところでオツルミズ沢出合に到着。
出合から入渓するか迷ったが、日も短くなって時間が惜しいとか理由をつけて、巻き道からカグラ滝に直行することにする。

オツルミズ沢巻き道突入 オツルミズ沢出合をちょっと過ぎたところに巻き道があり、赤テープまでつけられている。
こんな巻き道もついてるし、ひょっとしてオツルミズ沢楽勝?!なんて思ったりしながら進む。(実際は歯ごたえ十分だった!)

カグラ滝
10分程巻き道をいくと、カグラ滝のお出まし。
前日の天気があまり良くなかったようで濡れている・・・!
フリーで行くにはリスキーなのでロープを出す。

カグラ滝1Pめ登攀中
水流の右側にとりつき、そのまま直上。
ホールド・スタンスは豊富だが、一発目の登りなので慎重に登っていく。
80mある滝なので途中でピッチを切る。残置は何か所かあった。

カグラ滝1Pめ フォロー登攀中。入渓早々こんな大滝があるなんて、改めてすごい沢だ~。

カグラ滝2Pめ リードを交代して2ピッチめ。
そのまま直上は難しそうだったため、右へ斜上して草付きに入る。

カグラ滝登攀中上の方が傾斜がきつかったような?
乾いていれば快適だろうけど、なんだかなぁ~という感じ。

カグラ滝途中から滝を見る水流沿いルートを見てみるが、かなり細かそう・・・
あんなとこフリーで(しかもフェルトで!!)登ったひろたさん達は凄いわ。

カグラ滝上カグラ滝を越えるとすぐに深い釜をもつ小滝。左側から巻いた。

荒々しいオツルミズ沢
小滝の連続だが両岸が切り立ち、荒々しい渓相だ。

サナギ滝遠望 遠くに次の大滝、サナギ滝が見えて気分が高まる!

小滝にとりつく
まだ序盤だが、滝も一つ一つが小難しいし、腰まで浸かったりして寒いし結構ハードだ。

オツルミズ沢雪渓 ゴルジュ手前は例年雪の残る地点。今年もやっぱりあったが、通過に支障はなかった。

オツルミズ沢ゴルジュをのぞく
ちらっとゴルジュ内をのぞく。8月に突破しているパーティがあったが、楽しそうだった!
まぁ今は10月・・・。泳ぐどころか濡れるのも嫌だ。左のリッジから巻きに入る。

オツルミズ沢コップ状滝
巻き途中からゴルジュを見る。
コップ状の滝なんて、遠目には突破できなそうに見える。

オツルミズ沢ゴルジュ高巻き中
巻き巻き。ゴルジュの先の4段25mかな?

巻き終わり下降地点 巻きに入ってから1時間ほどで、30mナメ滝下に下りた。

30mナメ滝
30mナメ滝は立っているけどホールド・スタンス豊富で快適。
水流左をフリーで登れた。

サナギ滝 30m滝を登りきると目の前にサナギ滝。なんと200mの大滝だ。
いやー、写真でもイイけど、実物はもっとカッコイイ!

サナギ滝下
サナギ滝は下段がドーム状にえぐれている。
直登はまぁ無理だと、定石通り下段は右岸から巻き気味に登る。

サナギ滝下段の巻き
草付きを登っていく。サナギ滝上部が見えてきた。

サナギ滝へトラバース
途中からじりじりと水流の方へトラバースしていく。

トラバース
だいぶ水流に近づいてきた。結構な高度感!

水流沿いへ
水流に入るこの箇所は緊張した。ミスったら奈落の底だ・・・。

水流沿い
嫌なトラバースを終えてとりあえず一息。
すぐ右は滝だが、こっちは無理!

サナギ滝上部左のクラック
左側から登る。斜上する感じでクラックにとりつく。

クラック登攀中 クラックは難しめだが、左へ抜けられると簡単。
いつの間にか良い天気になっていた。

クラックルート
クラック内はこんなかんじで、出だしでちょっと苦戦。残置もあった。

サナギ滝上からの眺め
登り初めから2時間ほどで、ようやくサナギ滝の落ち口に到着!
展望よすぎる!

サナギ滝上
サナギ滝上もすぐ釜の深い滝。左から巻く。

ゴルジュ帯の巻き 続くゴルジュ帯も巻いていくが、この巻きが結構悪い。
ニラしか生えておらず、気を抜いたら滑り落ちて死の草付トラバース。

淵
降りれそうなところで一旦沢床に降りるが、泳がないと進めない淵だった・・・
さすがに泳ぎたくないので巻いた。

80m滝
80m大滝!次から次へと大滝が現れる。

80m滝
前衛の滝を巻き、80m滝の取り付きに懸垂で降りる。
ロープを出して水流左から登攀開始!

快適なスラブ登りだ。


水流沿い右側も登れるそうだが、かなりヌメってそうだった。

テラスになっている辺りで一旦ピッチを切る。


2ピッチ目もリードで水流左側を直上していく。見た目以上に登りやすかったと思う。
結構高度感があったが、ずっと高いところにいるからか慣れたものだ。

 振り返ると、日が傾きつつあった。
夢中でここまで進んできたが、すでにいい時間になっていたみたいだ。

さて3ピッチ目は、最上段を残してリード交代。
水流から少し離れたところをトラバース気味に登る。

 
このへんから左側の草付きへ入った。
すでに16時を回りそうだ。夕陽に照らされながらの登攀。

フォローで登る。水流のすぐ左側も登れそうな感じだった。


2時間ぐらいで80m大滝終了!意外と時間がかかってしまった~。

テン場へ急ぐ!
80m大滝上もまだまだ釜の深い小滝があり、腰まで浸かって寒い・・・

岩の隙間を四つん這いになって突破したり、相変わらず素直に登らせてくれない小滝が続く。
ザックが引っ掛かってやたら通過しづらかった。

10m程のナメ滝の前でビバーク決定。
左岸にまぁまぁ平らな岩があり、2人ぐらいなら横になれる。


斜めっていてあんまり寝心地はよくないが、景色は良い!


夕陽に照らされて赤く染まる滝はなんとも綺麗だった!

すっかり日暮れ。街の明かりを眺めながらささやかに宴会して寝る。


翌朝はナメ滝の高巻きから始まる。
いきなり巻きが悪いしガスで景色見えないし、テンションが上がらない。


まだまだ10m級の滝が続く。水流左から登る。


よく見えなかったが、多分登れないよねということで巻いたと思う。

 釜や淵が深いところが多い!あ~泳げたら楽なのになぁ~
この時期だと全身濡れると低体温症になりかねないので、必死でへつる。


ひたすら滝だけど、取り付けないものが多く高巻き祭りだ。


これも巻いた。

 と、ここで雪渓現る。


先が見えなかったので巻きあがるが、相当先まで続いている!

 少なくとも尾根一つは越えないといけない、長ーい高巻きが始まった・・・
しっかりした灌木があまり無く、小一時間緊張しっぱなしだ。

ようやく雪渓のおわりが見えたが、大滝は登れそうになく、まだまだ回り込まないといけなそうだ。

大滝とその上の滝をいくつか越えたあたりで沢に下降する。
ここらへんの草付きが泥交じりでメッチャすべる!チェーンスパイクも効かなくて焦った。

 
やっと沢床に降りてきてほっと一息。やっぱ滝登るより高巻きの方が怖いわ。


ここまで来ると、だいぶ滝のスケールも小さくなってきた。


とはいえ登れない滝が出てきたりして、なかなか気が抜けない。

 まだまだ滝は続く。これは右から快適に登れる。

 雰囲気は源頭部っぽいけど先は長い。

ただ、登りも巻きもそこまで大変では無くなってくる。

 小滝ばかりになってきたが、荒々しい渓相が続く。

そろそろ滝に飽きてきた。
水量も減ってきたし、そろそろ終わり?というかもう終わってほしい・・・

 右の四角い岩が看板に見えてぬか喜び。
人って疲れてると、見たいもの見てしまうのねー。


水流もほぼなくなったところで、ようやく遡行終了点だ。

 やっとあった、駒の小屋の水場!
本当に長かった~!非常に濃い沢だった。

駒の小屋。しばし休憩してから下山開始。

緩やかに登り越後駒ケ岳のピークを目指す。

越後駒ケ岳山頂に到着!百名山ゲット。

天気がイマイチなのが惜しいなぁ。景色良さそうなのに。
とはいえ、雲海も結構綺麗だった。

十二平登山口まで結構長いので、あまり長居はせずに下山。

 
極楽尾根の登山道は急こう配。根と落ち葉と泥で歩きづらく全く気が抜けない。
どこが極楽なんだい!

なんだかんだ3時間ほどかかり、へろへろになりながらも無事下山。
憧れのオツルミズ沢はやはり一筋縄ではいかない沢だった。
ただ、心から行ってよかったと思う。一生の思い出だ!

 コースタイム

1日目
5:45 駐車場発ー6:10 オツルミズ沢出合ー6:30 カグラ滝ー7:30 カグラ滝上ー9:30 サナギ滝ー11:50 サナギ滝上ー14:30 80m大滝ー16:30 80m大滝上ー17:00 ビバーク地点

2日目
6:20 行動開始ー8:10 雪渓大高巻きー9:30 沢床に降りるー11:45 駒の小屋ー12:20 越後駒ケ岳ー15:30 十二平登山口ー16:00 駐車場着

装備

ラバーソール靴、50mロープ、カム類、チェーンスパイク