上信越・越後の沢

巻機山 五十沢川本流

美しく浸食されたゴルジュを有する日本を代表する沢!

テクニカルな登攀や泳ぎ、高巻きなどの総合力を問われる。

巻機山 五十沢川本流(中部ゴルジュ~) 遡行記録

2020/08/19-21 2泊3日 全日晴れ

メンバー:ケーシ、シュカ

遡行グレード:6級

7月中旬くらいから天気予報と睨めっこしながら虎視眈々と狙っていた五十沢川(いかざわがわ)に行ってきた。
下部ゴルジュからワンプッシュで遡行するのが一番理想的だが、この後の予定を考えると日数がギリギリ足りない…。
という訳で2合目取水堰堤(中部ゴルジュ)から遡行することにした。


みやて小屋で前泊。翌朝は日の出と同時に行動開始!
五十沢キャンプ場~みやて小屋までの道路は通行可能時間が8-17時までなので、前日入りしたい場合はキャンプ場に連絡を入れるとゲートの鍵を開けておいてくれる。


渓谷道を歩いてアプローチ。


しばらく歩くと下部ゴルジュ帯の核心部である夫婦滝が見えてきた。
この滝が見えてくると取水堰堤までもう少しだ。


入渓地点となる2合目取水堰堤に到着。すでに両壁がかなり立っている。


仕度をして入渓。水は結構冷たく、フラッドラッシュだけで来たことを若干後悔。
昨年は9月半ばに入ろうとしていたが、やはり気温・水温的に8月が一番良い気がした。


早速、中部ゴルジュの関門となる1m滝が現れる。
ここを登って初めて中部ゴルジュに挑む資格がある。


空身で泳いで取り付く。右壁の遥か上にはリングボルトが1つ見える。(どうやって打ったんだ?)
その後、フリーで色々試したが巻き込みにビビッて登れず。
滝脇の浅いクラックに泳ぎながらカムを突っ込み、2ポイントのエイドで突破する。


次の滝も中々の水量で渡渉に失敗すると1m滝下に戻されそうなので、切り札のハンマー投げを使う。


上手いことキマッタので、手掛かりにしながら滝を越えた。


ゴルジュ内は一切緩みが無く、美しい浸食が続いている。


しばらくは1m級の滝が続く。水圧がスゴイ。


ほんの僅かな落ち込みでも突破が厳しい箇所がある。
少しでも増水していると通過はかなり大変だろう。


ゴルジュ内の岩棚から見下ろす。素晴らしい景観。


ゴルジュは左に曲がり水路状になっている。泳いでどんどん進む。


水路はまだまだ先に続いている。
写真に写っていないが、ここの右側はスプーンカットされたように抉れていて巨大なプールになっていた。


水路を泳ぎ進むと5m滝がかかっていた。
右のバンドからエイドで登れそうだが、時間がかかりそうなので戻って巻くことにする。


巻きは左岸の傾斜が緩そうな所から残置に導かれるようにエイドを交えて登る。


後半は藪に突入して灌木でビレイ。


巻き途中からゴルジュを見下ろす。


途中、沢に降りられそうな場所はあったが、
その先に登れそうにない滝が見えたので、そのまま2p藪をトラバースして行くとスラブに行く手を阻まれた。


ここから2.5回の斜め懸垂で大窪沢出合(中部ゴルジュ出口)に降り立つ。


ゴルジュ出口から振り返る。物凄いゴルジュだ。


大窪沢も面白そうなゴルジュが続いているが、ここは左の本流へ。


まだ昼前と早いのでのんびり本流を進む。


沢はまだゴルジュ状になっていて結構泳ぐ箇所が出てくる。


ここは泳いで左から突破。


いくつか淵を持った滝を越えると沢は平凡になる。


4合目の登山道を通過。


4合目~本谷沢出合間はずっと河原歩きが続くものと思っていたが、
直登の出来ない3-5m級の滝が連続し、いちいち通過が面倒くさい。


滝は巻かずに泳いで取り付いた方が早く通過できるだろう。


しばらく進むと五十沢名物?の石橋を伴った滝が出てきた。不思議な形だ。


右岸から巻いて橋の上を横断。


その後もダラダラと距離を稼いでいくと…。


ようやく本谷沢(巻機沢)出合に到着。
ここは岩盤状の超フラットスペースになっていて、最高の幕営適地となっている。


装備を乾かして夕方から焚火をして就寝。明日の核心部に備える。


翌朝、日の出と同時に行動開始。
何とか今日中に越路沢出合まで行きたいところだ。


2段6m滝は右から小さく巻く。


その後はプチゴルジュ帯となり、簡単な小滝を越えていく。


小規模ながらも立派なゴルジュ帯。


少し進むと15mほどの淵を持った滝が出てきた。
泳いで滝に近づきルートを探るが、登れそうに見えないため戻って右岸巻き。


巻いて戻ると沢は一旦河原になる。
この辺りに泊まれそうな岩小屋があるらしいのだが、よく分からなかった。


河原を進むといよいよ五十沢川の核心部である猛烈ゴルジュが始まる。


スッパリと両断されたような素晴らしいゴルジュに思わず大興奮!
この先にある1mCS滝は泳いで突っ張りで突破。


CS上から振り返る。めちゃくちゃストレート。幅は1mくらいか。


間髪入れずに次のゴルジュ。ここは薄暗くかなり不気味。
30mくらいの瀞の先に5m滝が見える。


5m滝はエイドを交えて被り気味の右壁を登って行く。
落ち口へのトラバースが核心。慎重に登ってクリア!


滝上から振り返る。
落ち口直下の残置が今にも抜けそう&振られて水流に巻き込まれると危ないため、
後続は落ち口手前、最後の支点以外を回収し、一旦ロープを抜いて滝の左側からユマーリングで上がってきてもらう。
その後、滝上から落ち口直下の支点を回収に向かうが絶妙に遠くて回収出来ず、泣く泣くヌンチャクを残置…。(後続の方すいません)
普通にフォローで登れそうだったらしいので、ビレイに切り替えるべきだった。


5m滝上は五十沢ゴルジュの最狭部になっている。何と幅60cm!


心臓が締め付けられるようなゴルジュ。


奥に突破出来そうにない滝が見えたので、5m滝上からアブミ&ショルダーで巻いて行く。


巻き途中からゴルジュを見下ろす。浸食がヤバい。


巻きの2p目。垂直の藪交じりのボロイ岩壁を直上。


その後、もう1p伸ばして傾斜の緩んだところでロープ解除。
降りられそうな場所を探しながら進むとスラブに阻まれてしまったので、適当な灌木からゴルジュ内に懸垂。


ゴルジュに降り立つ。先には再び猛烈なゴルジュが見える。
ロープを抜く前に突破可能か確認しに行く。
ゴルジュはかなり奥まで続いていて、正直突破出来るかは分からなかったが、
最悪巻き上がることが出来ると判断し、そのままロープを引き抜くことにした。


降り立った先の猛烈ゴルジュを進む。


ゴルジュ内は結構暗く、頭上からは絶え間なく冷たいシャワーが降り注ぐ。


小難しい滝がいくつもかかり、どれも一筋縄では行かない。


ハングした5m滝は右からボルダームーブで突破。


その先の淵を持った1mCS滝はハンマー投げでクリア。


沢が右に屈曲すると奥に8m滝。ここを小さく巻くとようやくゴルジュ脱出。


右岸の顕著なスラブが下カケズ沢。
ここは一応幕営適地になっているようだが、ショボイ河原が2つあるだけで増水には耐えられない。


少し歩くと再びゴルジュが出てくる。泳いで内部に入る。


美しく削られたゴルジュを進む。ここは特に難しい箇所は無い。


沖ノ沢(熊沢)出合に到着。
ここから先のゴルジュは暗い上にさらに激しく浸食されている。


奥に進むと深い釜を持つ悪そうな3m滝。ハンマー投げれば登れそうだが、
先に大きい滝が見えるので、戻って巻くことにする。


ゴルジュを引き返し、沖ノ沢に入って大高巻き。


巻き途中。対岸には巨大なスラブが見える。


河原が見えたところで一旦懸垂して沢床へ。
ここから少し進むと再び登れそうにないゴルジュが続いていたので、再び巻いて行く。


巻き降りて少し進むと上カケズ沢出合。


右に入る。ここも物凄いゴルジュになっている。
さっきから2人して“ヤバイ”“スゴイ”しか発していない気がする(笑)


ゴルジュ内にはいくつか滝がかかっていて、突破出来るか分からなかったが、内部に入ってみると意外と容易に越えられた。


まだまだ続くゴルジュ。
これほどクオリティの高いゴルジュがこんなに長く続く沢なんてそうそう無いんじゃないか。


出口付近の5m滝は右から巻いた。


側壁は徐々に低くなって来たが、地形は緩むことなくずっと続いている。


地味に難しい滝が連続し、空身で登攀→荷上げを繰り返す。


しばらくミニゴルジュを進むと…。


沢が開けて明るい雰囲気に。何とか核心部は脱出したようだ。
本流との出合まではいくつか滝が続くが、特に難しい場所は無い。


本流出合。右の仙沢に入る。


もう面倒な滝はないだろうと楽々モードで幕営地を目指す。


が、いきなり直登も巻きも面倒そうな8m滝が出現。


右岸の泥壁からロープを出して巻く。


次も似たような形の滝。この滝は2段構成になっている。


ここも右岸から巻いて沢床に復帰。巻きは全体的にずるずるで悪い。


ようやく悪い巻きから解放されて、開けたゴルジュを進んで行く。


越路沢出合に到着。ここは左岸を整地すれば幕営できる。


越路沢出合でも泊まれそうだが、もう少し先の左岸大岩上に良い感じの場所があったので、ここで本日の行動を終了。夜は蚊が多くて全く眠れなかった。


翌日も日の出と同時に行動開始。
今日は詰め上がって下山するだけなので気分はお気楽。


10m滝はヌメリに気を付けて水流沿いを登る。


最後の8m滝は右の沢に入ってズルズルの斜面を巻く。懸垂無しで沢床に復帰。


後はひたすらゴーロ歩きで標高を上げていく。


co1500付近の二俣を右へ。先に見えるスラブ帯を目指す。


スラブはⅢくらいの快適な登り。


スラブから振り返る。周辺の山々が一望出来てとてもいい眺め!


最後は藪を漕いで稜線へ。


永松岳下の稜線に到着。少し休憩をして登山道を目指す。


稜線は膝~腰くらいの藪で思ったよりも歩きやすい。


永松岳に到着。三角点があったので記念にパシャリ。


登山道のある牛ヶ岳は遥か先。笹薮に揉まれながら結構なアップダウンを繰り返す。


ようやく牛ヶ岳が見えた!暑くて死にそう。


藪漕ぎから解放されて登山道へ。稜線に出てから約3時間。長かったー。


登山道直下の池塘に癒される。
水の残量が0だったので、飲もうとしたけどさすがに汚くて飲めなかった。

記念に牛ヶ岳に立ち寄り、巻機山経由で桜坂駐車場に下山。
あとはキャンプ場まで車を回収しに行き無事に活動終了。

日本を代表するゴルジュと言われているだけあり、今年1ハードな遡行になった。
登攀や高巻きなどのルート取りは、ある程度の経験とセンスが問われると思う。

今回は条件良く2泊3日で行けたが、ハマった時のことを考えると3泊4日あると安心。(中部ゴルジュから遡行の場合)
下部ゴルジュから遡行すればさらに充実すると思う。増水が非常に早く、逃げ場も限られるので悪天時に突っ込むのはやめた方が良さそう。

コースタイム

1日目
みやて小屋5:40―取水堰堤6:40―大窪沢出合11:10―4合目12:20―本谷沢出合14:30

2日目
起床4:30―出発5:30―下カケズ沢出合11:30―沖ノ沢出合11:50―越路沢出合16:30―幕営地16:40

3日目
起床4:30―出発5:30―稜線8:00―永松岳8:30―牛ヶ岳12:00―桜坂駐車場15:30

装備

ラバーソール靴、50mロープ、カム・ナッツ・ハーケン、アブミ、ライジャケ